第177話<弟>
(※全て黒死牟の回想シーン)
①双子として生まれた弟の縁壱は痣があり差別して育てられた
②縁壱、剣の修行をしたいとせがむ→超強かった(透き通る世界を会得済)
③母の死で縁壱去る
【主な登場人物】
・縁壱
・巌勝(黒死牟の人間の頃の名前)
【詳細・感想】
ハイ、またしても回想でした。。
しかし「弟への嫉妬」だけで暴走してしまった彼の人生を詳細に解説して貰わなければ到底読者も納得出来ないと思いますので、ある意味当然なのかも知れませんね。
双子として生まれた巌勝と縁壱。その時代、双子は跡目争いの原因となることから不吉とされていました。
痣を持って生まれてしまった縁壱を父は殺そうとし、母が怒り狂い一命を取り留めますが、10歳になったら寺へ行き出家する手筈となりました。
二人は「衣・食・住」全てにおいて差別して育てられます。幼少期からずっと母の左側にぴったりくっついている縁壱を見て、母親離れ出来ない可哀相な奴だと思います。
縁壱の居る3畳の小さな部屋へ父の目を盗んで遊びに行っていた巌勝は、手作りの笛を渡します。(…な、なぜ笛なんだろう??)
縁壱は生まれてからずっと喋らず笑わずだったのですが、7歳のある日、衝撃の展開が待っていました。
巌勝が庭で刀の素振りをしていると、突然話しかけられます。お前、喋れたんかい!?と驚きますが、更に追い打ちをかけるように「自分も侍になる」とか笑顔で宣言されてしまいます。
これには巌勝もドン引きです。気味が悪いとか言っちゃってますが…確かに7年間喋らず笑わずの弟がいきなり喋ったと思ったらニッコリ猿真似宣言しちゃったら…気持ちは分からなくもないです(笑)
しかし更にここから怒涛の衝撃展開です!
侍Me,Too宣言後、稽古に顔を出して来ては教えて欲しいと言う縁壱に、父の配下である剣技指南の先生は袋竹刀を持たせます。→先生、四連撃を喰らって失神。。
縁壱は人を打ちつける感触が耐え難く不快で、それ以来、侍宣言は無くなります。
巌勝はどうしても超絶凄技の秘密が知りたくて縁壱に食い下がり詰め寄ると、何やら不可解なことを言われて「???」となりますが(後々それが「透き通る世界」の事だと分かる)、今まで哀れんでいた弟が、実は自分よりも遥かに優れていたと気付かされます。
一生懸命修行していて一度も一本取れなかった先生相手に、いきなり一本どころか四本取っちゃって、しかも拳大に腫れ上がらせちゃったとか…そして話を聞いたら相手の体が透けて見える?みたいな?よー分からんこと言われちゃった7歳の巌勝少年。いきなり逆転満塁サヨナラホームランされたような気分だった事でしょう。。
NO侍宣言をした縁壱は、剣術なんかより兄とすごろくや凧揚げ遊びがしたいと言います。(←ようやく年相応な発言が飛び出してちょっと安心しました)
立場が逆転した巌勝は、先生からの報告が父へ伝われば、自分が3畳の狭い部屋へと追いやられ、10歳になったら寺へ行かされるのだと覚悟します。
その矢先、縁壱から母の死の知らせを聞きます。寝耳に水だった巌勝でしたが、弟は例の笛を大事そうに持ちながら、すぐ寺へ行くと言い残し去ります。
死んだ母の日記を読む巌勝少年。
・縁壱は自分が跡継ぎに据えられると気付き、予定より早く家を出た
・母の病も死期も知っていた
・母は何年も前から左半身が不自由になりつつあり苦しんでいた
これらの事実を知り、縁壱がずっと母の左側にいたのは甘えていた訳ではなく、不自由な母を支えていたと気付いた巌勝は、嫉妬で全身が灼きつき天才縁壱を心底憎悪したのでした。
うーん…なるほど。。でも巌勝には巌勝の事情ってものがあったのね。なら仕方ないね…とは…ならないです。。
次回も回想シーンが続きそうですが、他の鬼達のように(←上弦の弐:童磨を除く!)読者の同情に結び付く結果となるのでしょうか?
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